機械学習の参考書: ディープラーニングがわかる数学入門

2018年12月7日

『ディープラーニングがわかる数学入門』涌井良幸、涌井貞美著 技術評論社

カテゴリ おすすめ度
機械学習に関する数学の本 ○: 数式は多いが読める

概要

機械学習・ディープラーニングの基本を理解するのに必要な数学の参考書です。ニューラルネットワークの仕組みをこれから勉強して、これからプログラミングしようという方は一度読んでみることをお勧めします。

私は本屋でこの本を立ち読みしたとき、わかりやすそうな微分・偏微分の説明があったので購入を決めました。著者は統計の本なども出版されています。

数学の本なのですが、冒頭でニューラルネットワークの説明があります。そこに「悪魔」が出てくるのですが、まぁ概念的にはよく理解できました。

数学の基本知識として、ベクトルや行列演算や微分、偏微分、チェーンルール(連鎖律)のが解説されています。続いて、ニューラルネットワークの中身(構造や学習方法)と、学習に必要な根幹技術の誤差逆伝搬法(バックプロパゲーション)の解説があります。

記号∂など数式がたくさんでてきますが、ニューラルネットワークの構造と学習の仕組みがよくわかりました。一度読んで頭に入ってこなくても、2回、3回と落ち着いて読めば式の変形もついていけました。式の変形は途中経過が省略されているところもありますが、一度自分で式を展開して変形すればきっと一致するはずです。

誤差逆伝搬法(バックプロパゲーション)も何度か読んでいるうちに書いてある数式については理解できました(書いてある数式に大きな飛躍はない)。しかしながら、スクラッチからプログラムを書いたり、他人に説明できるほどは習得できていませんが、何度も読んでいるうちにそれが可能になると思えるぐらい、そこそこ説明されています。

pythonのコードはないので、pythonの文法を知らなくても問題ありません。実践としてExcelを使った計算が紹介されているので、プログラムがかけくてもニューラルネットワークの計算(勾配の算出やパラメタの更新など)を試してみるとはできます。

章立て

  1. ニューラルネットワークの考え方
  2. ニューラルネットワークのための数学の基本
  3. ニューラルネットワークの最適化
  4. ニューラルネットワークと誤差逆伝搬法
  5. ディープラーニングと畳み込みニューラルネットワーク
  6. 付録

いいと思ったところ

  • 適度に図があり、視覚的にも理解しやすいです。
  • ベクトル、行列、微分、偏微分の説明があります。
  • Excelの計算シートがあるので、計算内容を確認することができます。各セルにどういう値を入力すべきかきちんと説明されています。技術評論社からダウンロードできるので、入力に時間を掛けたくない人でも短時間に体験できます。
  • ニューラルネットワークの学習に必須ともいえる誤差逆伝搬法(バックプロパゲーション)の説明があります。数式で説明されているので、数式に慣れている人は理解しやすいです。数式アレルギーの私でも、少し我慢して何度か式の変形等を追いかけていくうちに理解できました(最初はちらっと見ただけで理解するのをあきらめたのですが、時間ができたときに、根気よく読んでみるか、と思ったのがよかったです)

改善してほしいところ

  • Sigmoid関数(シグモイド)を「グモイド」と表記しているのが残念。初心者が誤って覚えないように、改訂で必ず直して欲しいですね。
  • 文章中に式やセクションを参照があるのですが、§1というのが同じ章の第1節を示すようですが、それに気づかないと第何章の第1節なのかわかりにくい。式の番号も同じ。ここは、「何章何節」と明記したり、式の番号にも章番号を含めて欲しい

その他

  • ニューラルネットワークの説明で「悪魔」が出てきますが、これはMichael Nielsen著「ニューラルネットワークと深層学習」を参考にしたのかなぁと思います。

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